正確な事実認定や法律の厳格な適用を最重視している従来の法曹三者による刑事裁判は「精密司法」という言葉で表現されるほど慎重で丁寧な審理が行われてきました。しかしそれは同時に社会一般の価値観や市民感覚とかけ離れた判決が出てしまうことや、公判審理に膨大な時間がかかってしまうなどの弊害もあることが指摘されていました。裁判員制度はその指摘をもとに、従来の刑事裁判制度を改善するメリットがあります。
裁判員制度が持つ最大のメリットは、刑事裁判に国民が参加することによって有罪か無罪かの判断や量刑、そしてその判決理由などに国民が持つ社会一般の価値観や市民感覚が反映されます。これにより一般的な常識からかけ離れた判決が出てしまうことを防止することができ、最終的には国民から裁判所に対する信頼を得ることができます。
よく分からないものや難しそうなものには、なかなか関心を持てないのが人間心理です。そのため、裁判員制度には裁判に対する社会全体の親近感を高めるという狙いもあります。
従来の裁判制度は、判決と世論との乖離が問題点として指摘されて久しく、かねてより改善の余地があると言われていました。国民が裁判に参加することにより市民感覚という新しい風が吹き込まれると、裁判はどう変わるのでしょうか。
裁判員制度導入後に裁判員が参加することとなる種類の事件は、現在では、裁判が大変長期に及ぶ事例が多く見られます。裁判員制度ではこの点にも多くの改善が施されています。